京都嵐山で信楽焼の窯元「小陶苑」に出会った

旅行記

昨年2023年の11月、ちょうど紅葉の季節に2泊3日の京都旅行に行ってまいりました。今回は旅行の中で最も思い出深かった嵐山の器屋さん「小陶苑ことうえん」を紹介したいと思います。

京都旅行の旅の思い出として、観光地の定番品ではなく、長く使える唯一無二のお買い物がしたい。そんな方におすすめです。

小陶苑までの道のり

アクセスの方は徒歩で問題ないです。JRの嵯峨嵐山駅からのんびり歩いて10分もすれば着くかと思います。なおかつ付近には広々とした参道が見応えのある二尊院もありますので、お買い物以外でも足を運ぶ価値ありです。県道29号を越えたあたりから、徐々に田園風景のような緑豊かな景色に移り変わっていきます。観光名所で人混みに飲まれてたまった疲れも癒やされていくでしょう。

小陶苑からすぐそば、田んぼの先に見える茅葺き屋根の家屋が「落柿舎」。松尾芭蕉のお弟子さんの歌人が晩年に住んでいたそうです。背景の山々も含めてタイムスリップしたような感覚に浸れます。

タクシーのおじさんの話では、この年の夏の猛暑で紅葉の葉がきれいに育っていないとのことでしたが、それでも充分に色のコントラストが楽しめました。紅葉の名所である東福寺や清水寺もいいですが、こういった名もなき路傍の風景もぐっと来るものがあります。

この付近からお茶屋さんやお蕎麦やさんなども出てきますので、お買い物の前に休憩をとってもいいかもしれません。私は小陶苑近くの「団五郎」でお蕎麦をいただきました。

信楽焼とは。清水焼との違い

道草を食いながら散策を楽しんでいると小陶苑に到着です。入口では人の背丈ほどもあろうかという巨大な狸の焼き物がお出迎え。蕎麦屋の店先に置いてあるあれです。どうも明治以降に初めて作られてから、「他を抜く」という意味合いを込めて商売繁盛の象徴として用いられているようです。

狸の置物で有名な信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽を中心に作られ、その始まりは鎌倉時代まで遡る歴史ある陶器です。京都土産はお皿がいいなと思っていたこともあって、前日まで行く先々で焼き物屋をチェックしてたのですが、なかなかしっくりくる出会いがありませんでした。なんというか自分の食卓に並ぶイメージができないというか…

清水寺の参道や各所で見かけていたのはおそらく「清水焼」で、信楽焼とは非常に印象が異なるものでした。清水焼は桜や梅、牡丹、紅葉といったクラシカルな絵付けが鮮やかにしてあり、料理屋では映えても日常使いには難しいかなと思います。一方信楽焼こと小陶苑の焼き物は、かわいらしいぽってりとしたフォルムと原料である土そのものの色味と手触りが特徴です。これはあくまで自分の受けた印象で、そういった親しみやすい器が好きなのだと思います。いずれにしても、きらびやかなものに目が行きがちな京都旅行の中で、こういうのがいいんだよと納得させられる感動的な出会いでした。

そんな素敵な器の数々は陶芸家長谷川章一さんによるもので、お店のお庭にもその考えが反映されているのかなと思いました。土や石を通して人の手と自然と関わることで生まれるものが陶芸であり、そういった調和の形が木漏れ日に照らされた作品たちに表現されているのでしょう。以前は縁台が置かれており、茶店としても利用できたようです。私は行った時は撤去されていましたが、だとしてもこのお庭も一つの作品として堪能する価値ありです。いつまでもそこに佇んで時の移ろいを感じたいものです。

悩みに悩んだあげく、小鉢にもスープ皿にも使えそうな深皿と、雰囲気抜群なマグカップを購入しました。お値段は非常に手頃で、器を買い歩くのが好きな方でしたら、たくさん買い込んでしまうこと間違いなしです。荷物がぱんぱんだったのが悔やまれます。

またお会計に立たれている長谷川さんとの会話も楽しいものでした。どのようなお料理だといいだろうかと私がお聞きしたらとても丁寧に教えていただきました。そのような出来事が物への愛着を強めてくれるものだと思います。本当に感謝です。

今回は京都旅行での思い出小陶苑の話をさせていただきました。実際に私が購入した器の紹介はまた別の記事にてさせていただこうかなと思います。読んでいただきありがとうございました。

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