今回は昨年9月の頭に訪れた八丈島の旅行記を書こうと思います。そして旅行の中で特に印象に残ったスポットを二つご紹介いたします。山で、そして海でその絶景を楽しむことができます。
その魅力はこれから写真を交えて語っていこうと思いますが、結論言いますと八丈島観光は首都圏在住の方で気軽に南国気分を味わいたいのであれば最適な選択と言えるでしょう。
フェリーからの眺め。そしていよいよ上陸
八丈島へのアクセスですが、羽田空港からの飛行機と東京竹芝からのフェリーの二つの手段があります。約1時間で着く空路に対して約10時間の船旅ですし、フェリーは安い席を取っても割高感があります。
島へのアクセス情報https://www.hachijo.gr.jp/access/
ですがより記憶に残る旅にするのであれば、行きのアクセス手段はフェリーがおすすめです。なぜなら八丈島は手軽に行ける伊豆諸島の主要な島の中では最も南に位置しているため、船内から他の島々を通過していく様子を眺めることができるからです。暖かい季節であれば三宅島、御蔵島がちょうど朝日を浴びて闇から浮かび上がってくるところに遭遇するはずです。
特に三宅島のスケールには圧巻です。
9時前に八丈島、底土港に到着。今回は125ccのスクーターをレンタルしてありますので、そちらのお店に徒歩で向かいます。10分ほど歩いたかと思いますが、その間にも道路にはヤシの木の街路樹が立ち並び、振り返ると青々といた地平線が顔をのぞかせています。もうこの時点で南国気分に入れること間違いないでしょう。
「八丈富士」のお鉢巡り、島の大自然を一望
八丈島は八丈富士と三原山二つの山がくっついたようなひょうたん型の島です(大島にも「三原山」があり、噴火被害で有名なのはこちらの方)。西側半分にあるのが八丈富士であり、島観光の一番の目玉である「お鉢巡り」はこの山頂の火口をぐるっと一周します。
アクセスのしやすさがお鉢巡りの良いところでもあります。山の7号目である登山口まで車で行くことができ、空港から車で20分、底土港からでも30分で到着します。なので私のような登山初心者でも安心してスケジュールを立てることができます。
とはいえ非力なスクーターにはくねくね山道はハードな道のりでした。
登山口からしばらく石段を登って行きます。あまりの蒸し暑さにこの時点でかなりまいっているのですが、徐々に空が近づいてくる爽快感が背中を押してくれます。
とうとう火口を見下ろすことのできる山頂に到着です。ここからは下の写真右側の火口部分を囲む断崖を一周して行きます。登山道は意外と広々としているのでゆっくり休憩を取りながら進むことができます。登ってきた石段の道は林がアーチ状になっており空と海はのぞき込むしかできませんが、山頂に至って一気に視界が開放されます。腰を下ろしながらその感動に浸るのもいいでしょう。
ただしところどころ溶岩石が剥き出しになっていたり、低木をかき分けて歩かなければならない足場もあるので、あまりにもラフな服装は避けた方がいいかもしれません。
見下ろすと火口に小さな沼が。後ほど他の方のブログで知りましたが、お鉢巡りの分岐路から火口に降りていく道があるようです。一応活火山ではあるので不毛な大地を想像しましたが、一面に緑がこんもりを生え揃ったように見えます。過去の噴火活動の確かな記録としては17世紀までさかのぼるそうなので、このへんは近年まで活発な活動を見せていた三宅島の環境とは対照的なところかもしれません。長い年月で積み上げられた自然の生命力を感じますね。
山頂では目まぐるしく天候が変わります。離島での登山ならではの海と緑のコントラスト。そしてその上を滑っていく雲の影。私にとってこの旅での最高の撮影スポットとなりました。
ちなみに島の特産品である明日葉は、今日摘んでも明日には新しい芽が生えているほどに生命力が強いことからその名がつけられています。カフェでいただいた明日葉ラテがとても気に入ったので、粉末のものをお土産に購入しました。ほのかな苦味があり、ミルクとハチミツに合わせると美味しいです。カフェインなので寝る前とかによく飲んでます。
登山道を俯瞰して見ると、よくこんな道をと自分を褒めたくなります。観光情報には山頂からのお鉢巡りは約一時間の所要時間となっていますが、登山に不慣れなのと写真を撮りながらなのでも倍くらい時間がかかった気がします。普段登山をせず体力に自信のない方はある程度のハードルがあるかと思いますが、それを見越してでもこの絶景は見にいく価値ありです。
火山島独特の溶岩台地、「南原千畳岩」から日没を眺める
山ときたらお次は海と決まっています。もう一つの絶景スポットは「南原千畳岩」です。ここには、先ほど紹介した八丈富士の噴火で流れ出た溶岩によってつくられた黒々とした大地が延々と広がっています。
私は海のあるところに旅行に行くときは、必ず海岸から日没に立ち会うようにしています。1日のうち空が最も多くの表情を見せてくれる時刻であり、普段の生活では感じることのできない時の移ろいを実感することができるからです。
さらには独特な様子の海岸だけでなく、「八丈小島」という本島の西に浮かぶ無人島を臨むことができるとのこと。非常に楽しみです。
島中心部分にある宿から海岸へ向かいます。傾きかけた日差しを背に受けてそびえる八丈富士が美しすぎてすでにやばいです。
黒い溶岩台地にはじける水飛沫が絵になります。初めて灼熱のマグマが海に流れ出た時はどんな壮絶な光景だったのでしょう。目の前の地形からそんな想像がかき立てられます。
夕暮れ近くになると、日没を眺めようと海岸に徐々に人が降りてきました。ひとり旅だからこそ何気ない一体感が感じられていいですね。
奥で富士山のごとく綺麗な輪郭を見せているのが「八丈小島」です。小島と水平線、そして溶岩台地の連なりが見せる独特な景色。これがこの海岸が絶景スポットたる所以です。
そこらじゅうに転がる謎の巨石。その岩肌を西日が照らします。SF映画のロケでもできそうです。
八丈小島は本島の西に約7.5km離れた無人島です。江戸時代に徳川政権のもとで流刑地として位置づけられた八丈島。その中でも特に重い罪を科された者が小島に流されたそうです。戦後、海外旅行が庶民には縁遠い時代だった頃、「日本のハワイ」と呼ばれ首都圏からの新婚旅行先として人気だった八丈島。歴史の移り変わりとは不思議なものだなと思います。
沈み切ろうとしている太陽から伸びる一筋の光。このような雲の切れ間から放射状に光が漏れ出す現象を薄明光線というそうです。逆に太陽と反対側に向かって収束する光を反薄明光線といいます。私には灯台の光のごとく太陽がおのれの存在を主張しているように感じます。なにか力を授かったような気分になります。
いかがでしたでしょうか。普段はやらない登山に挑戦したりといろいろと発見の多い旅となりました。八丈富士の火口はぜひとも足を踏み入れてみたいと思いますし、島東側の三原山の方も気になります。近いうち再訪できたらまたご紹介させていただきます。ではまた。
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